先日、自分で現像したカラーフィルムを暗室で印画紙に焼き付ける経験をした。その際に使用したネガを近所のキタムラでデータ化してもらったところ、その仕上がりに初めて違和感を覚えた。
Venus800という高感度フィルムを使っているせいかと思うが、印画紙での質感と比べるとかなりノイジーで、印画紙プリントとネガのデータ化をしたものを友人に送ろうと思っていたが、そのまま送るか少し悩むこととなった。フィルム特有の粒状感を超えて、ちょっと嫌な感じの写りになっていた。
そもそも印画紙に焼いた写真と、ネガをそのままスキャンしたデータを比較すること自体がいかにも素人というか…何か勘違い的な行為である気もするが、人物の写真であることもあって、この仕上がりは納得できない…と思い、こうなったら自分でスキャンして画質調整してしまおうと思い立った。
ニコンのスライドコピーアダプターES-1とオリンパスの30mmマクロをステップアップリングでつなぎ、プラスチックのスライドマウントにネガを挟んで、E-M1でRAW撮影する。
撮影したものをLightroomで反転させて写真らしくしていく…
やってみると、これが結構面白い。
デジカメなんかで撮って、RAWデータを編集なんかしたらフィルムの良さが失われてしまうのではないかと思ったが、そんなことはなかった。
レッド、グリーン、ブルーのトーンカーブを触り、画像の明るさを調整する様は、引き伸ばし機でやっている作業に近く、アナログでの経験がデジタルで触るときに活かされるとは…と少し驚く。
現像からプリントの工程をアナログで経験していると、店頭でのフィルムのデータ化はこれをいつも人任せにしていたことに今更ながら気づく。ただし、それが必ずしも悪いことだとは思っておらず、わざわざ自分で現像してスキャンしてという手間をかける時間があるなら、写真を撮りに行くよ…という考えも全くその通りだと思うので、うまく使い分けていきたいと思っている。
以下、宮崎へ旅行した際のフィルムをデジカメスキャンしたもの。
F6はコマ間にデータを写しこむことができる。いままではネガに小さく「あ、何か書いてあるな…」程度にしか思っていなかったが、自分でスキャンするとそれがはっきりわかって面白い。この狭いスペースによくこんなモノを写しこめるな…とネガと画像を見比べてしばし感嘆。
今後の課題として、フィルムを保持するスライドマウントの剛性が弱く、フィルムの平滑性が保てていない点。何かいい道具ないかな…
結局、当該人物写真はどうなったかというと、なるべく印画紙画質(?)に近づける努力をして、友人宅へ印画紙プリントと共に旅立っていった。喜んでもらえるとうれしいが、どうなるか。