今年の1月LeicaⅢbをLeicaRepairServiceさんから購入して数か月…最近はどこへ行くにもバルナックライカが一緒だ。出張先はもちろん、普段出かけるときもほぼ持ち歩いている。
そのコンパクトさがそれを可能にしていることは間違いないが、それだけではない。
手の中で転がすのが心地いいカタチ。ちいさいのに重厚感のある筐体。80年の時を超えてもなお美しさを保つクローム塗装、そして何よりエルマーの写り…
いつも持ち歩きたくなるのは、やはりモノとしての魅力にあふれているからこそだと思っている。
自家現像をやるようになって、カラーのみならず、モノクロも撮るようになった。
このことが2台目のバルナックがあったら、カラーとモノクロを同時並行で撮れるな…と思い始めるきっかけとなる。
そんなバルナックライカを調べていると、否応なく気になってしまうのが、ブラックペイントの個体。これなら散歩カメラの街中でもっと気配を消せるのではないか…
もともとブラックペイントのバルナックは興味があり、ネット上のブログ記事などを読んではその姿に魅力を感じていた。
しかしながら、トップカバーの刻印が銀象嵌という手法で造られており、これが経年劣化すると滲んだようになってしまうものが多く、やや残念な見た目となる。また、ブラックエナメル塗装が剥げることで地金が見えている個体が多く、これが時代を感じさせ、趣を与えているものもあるが、行き過ぎるとみすぼらしくなる。
このようなことから、「銀象嵌がきれいな状態で、ボディの地金か過剰に露出しておらず…できればスローシャッターがあるDⅢで、セミクロームと呼ばれる、ダイヤル類がニッケル鍍金でなくクロームシルバーの個体がいいな(我ながら注文が多すぎる)…」と思っていたのだが、ブラックバルナックは非常に人気があり、なかなか見つからない。中古カメラ店を回っても、そもそもブラックが置いていなかったり、置いてあったとしても状態が悪いものがほとんど。ネット上で探しても、そもそも数が少ないためか、なかなか見つからない。LeicaDⅡとDⅢ、この2機種にブラックペイントの個体が多いのだが、状態のいい在庫が出てもすぐ売れて行ってしまう。
このようなことだから、ほぼあきらめていた。ブラックのバルナックが見つからなくても、手元にⅢbがあるから大きく困ることはない。1年か2年か、のんびり探して、それでも見つからなければ縁が無かったのだろう…と思うようになっていった。
しかし、そんなある日、Ⅲbを購入したLeicaRepairServiceさんのサイトを覗いてみると、完全に望み通りのLeicaDⅢが目に飛び込んできた。冗談ではなく、画像が網膜に突き刺さった感じがした。出張先の朝忙しい時間ではあったが、このタイミングを逃してはもう次は無いとすぐさま注文して、我が家の仲間入りを果たすこととなった。
先輩のⅢbよりも大事にに扱われていたようで、Ⅲbより3つ年上(1936年製)ながら酷使された感がないボディ。グッタペルカもオリジナルのようで、パカパカ浮いていたものをお店でオーバーホールする際に再接着したとのこと…
実用する写真機として、こんなに美しいカタチである必要があるのかと思うくらいの造形・質感。
次の出張はこれを相棒に出かけよう。
どんな写真が撮れるだろう。今から楽しみだ。