私が思い出すことのできる一番古い記憶は…
ちいさい頃住んでいた古いマンションのリビングの畳の上、
ブラウン管のテレビが何か言っているのを背景に、
ベランダに通じる窓にかかったレースのカーテンが風にひらひら揺れているのが面白くて、
ぼーっと眺めている光景だ。
畳の上にはクルマか何かのおもちゃがいくつかあったかもしれない。
秋だったと思う。
やわらかい陽の光が季節の変わり目の風と共に入ってきて、
外に干してある布団が太陽の匂いになっていく。
そんなおぼろげな光景を、おぼろげにフィルムに記していきたいと思う。
一歳の娘はどこから記憶してくれているだろうか。
先日また、ブローニーのリバーサルを近所のカメラ店へ現像に出した。
ここの外注しているラボさんが、リバーサルなら平日は翌日に上がるという、このフィルム衰退の時代にかなり頑張った対応をしてくれる。そして現像代金もお手ごろだ。
京都にあるというこのラボさんが健在である限り、中判リバーサルを続けるだろう。
宝石みたいな6センチ四方を子供と一緒に眺めて、「海だね～さんぽ道だね～」と話すのが最近の楽しみとなっている。