我が家のベランダからはきれいな朝焼けが見える。
マンションが少し高台にあるために結構見晴らしがいい。
ここに越してきてからというものの、朝焼けが見えるたびに、ウキウキしながらおもむろにカメラを持ち出してはベランダに向かった。
蒸し暑い夏も、凍りそうな冬も、ベランダから何度も何度も何度も写真を撮った。パジャマで。
新しいカメラが来るたびに、その性能評価はベランダがまず実験場となった。
春夏秋冬が最高にお手軽に撮れる。
「ベランダ?」となるような写真もいくつかあったが、それはご愛嬌。
ネガ、ポジ、モノクロ…いろとりどり。
同じ場所で撮っていても、同じ雲は無いし、同じ光、同じ空気は無いことがわかる。
毎日、貴重な一瞬だったのだと大抵は後から気づかされる。
…後からでも気づかせてくれる写真という趣味は、いいもんだなと、ふと思う。
実はこの最高に身近で素敵な「撮影フィールド」とももうすぐお別れなのだ。
もうすぐ去るこのおうち、あと何回の朝焼けに出会えるだろうか。