【Leica M9】Canon Serenar 50mm f1.8ってどんなレンズ?

先日のクラカメ会以来テヅクリさんからお借りしているCanonのオールドレンズ「Serenar 50mm f1.8」について、しばらく継続して使用したのでその感想を書いていきたい。

まず、レンズの外観。

レンズはしっかりとした重さがあり、金属と硝材の塊であることを伝えてくる。
M9に装着した際の重量バランス的には良好。構えやすく、持ち運びやすい。迫力のf1.8大口径レンズだ。

このレンズ、Canon Camera Museum を参照すると、1951年に登場したそうで、なんとその少し前の1948年までは日本光学工業(のちのNikon)からニッコールレンズの供給を受けていたというから、隔世の感がある。
Canonという会社がどのように誕生しこれまで歩んできたかがよく分かるので、興味のある方は是非読んでいただきたい。
CANON CAMERA MUSEUM https://global.canon/ja/c-museum/index.html
(トップページから下に進んで「歴史館」→「年代から見る」がオススメ。)

このページからも分かる通り、当時の大口径化の課題を克服した傑作レンズとされており、レンズに対するメーカーの誇らしさが見て取れる。

しかしながら幸か不幸か、同時代のライカレンズ等に比較して価格が安い。
同時代のズミクロンなんてあんなお値段なのに…

しかし、市場価格がお安いから写りもpoorなのだろうか。
Canonがホームページでその誕生を誇示する名玉なのだ。

というわけでSerenarで撮影した写真を以下に挙げていく。

M9 JPEG

曇り空、最短距離で開放。このカットのボケは自然な感じ。全体的にコントラストがよく、色乗りもいい。帽子のクマも心なしか楽しそうだ。

M9 JPEG

これも開放。周辺が流れている。M9らしく、個人的には好きな写り。

M9 『Vintage Monochrome』JPEG

ピント面から浮彫の力強さが伝わってくる。触ると冷たそう。

M9 RAW(Lightroom)

しっとりとした写り。M9の1/4000のシャッタースピードで辛うじてハイライトが飛ばないくらいに絞った記憶がある。

M9 JPEG

暗部のディテールもしっかり残っている。(けどピントが…手…かな。これは撮影者のウデの問題。)

M9 RAW

複雑な光の状況下でも、いい発色。M9と相性がいい…のかも。

M9 RAW

オールドレンズらしい一枚。夕方のゆるーい雰囲気が出ていて、これも好きな感じではある。

以上、使用感と共に作例を挙げてきた。
周辺減光、逆光耐性など、現代のレンズに比べると劣る点は当然あるものの、総じて大きな欠点と言えるものはない。
約70年前の、戦後数年の、自社製造し始めて間もない頃のレンズがデジタルライカでこれだけ写るのだから驚くべきことだろうと思う。
ズミクロンに匹敵してほしいとまでは言わないものの、もっと世間に認知されたらいいのにな、とも思う。
(でもそうなるとお安く買えなくなるか。)

50mm f1.8という性能から、暗所にも強いし、人物を撮るときも人をしっかり浮き立たせて立体的な描写をしてくれる。特に動き回る子供をよく撮る私にはとても頼りになるレンズであるとと言える。

このSerenarという名のレンズは50mmだけでなく、いくつかの焦点距離でシリーズがあり、レンズブランドの総称として存在していたが、後にCanon銘に変更されていく。月の海に由来するSerenar、その出自のストーリーも含めて、楽しく撮影できるレンズではないだろうか。

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