「ハーフ、いいよ」と、ある方に聞いてから、しばらく心の隅にあったハーフカメラへの興味。そう、どうせフィルムやるなら中判とハーフをそれぞれリバーサルで。きっとそれが面白いと思っていた。
ある日、子供を寝かしつけて、自室で焼酎のお湯割りを飲みながら某ークションのページを眺めていると、程度はいいのにあまり値が上がってきていないものを見つけてしまった。あとは、飲んだ勢いで。(笑)
購入を決めたときに知っていたことは、
・35mm版の倍の枚数が撮れる
・PEN Fが初代、PEN FTは初代に露出計を付けたもの
ほぼこれだけだった。
世界初のハーフ判レンズ交換式一眼レフ、PEN-F。いままでその存在は知ってはいたものの、グリップに向けて妙にテーパーするボディラインや、正面から見た何となくそっけないデザインにあまり惹かれていなかった。
でも気になっていたから、少し調べていると、このデザインが妙に良く思えてきてしまい…
(ちなみに 「PEN-F」について調べようとすると、デジタルのPEN-Fの情報が大量にヒットして、自分が現代に生きていることを実感させられる…。 Wikipediaを見るとわざわざフィルムのほうは「ペンF」という表記にしている。 オリンパスも「PEN-F」の名をそのまま復活させることにはかなりの度胸と決断が必要であったのではないだろうか。 )
「一眼レフ」なのに小さい。ハーフだから、レンズも小さい。これは現代のフルサイズとAPS-Cの関係に近いのだろう。
それでもまだ手に入れる気はなかったけど、上記の通り、夜中に飲みながら見てはいけないページを見てしまった。(後悔はない。)
昨日、手元に届いて触った第一印象は、「貼革のパターンが意外とカッコいい」(そこかよ)
細かいワッフル的なパターンを想像していたのだけど、もっと細かくラインが入っていて、織物のような質感を作り出している。光の当たり方で粗くも細かくも見えて美しいと思う。
大切に使われてきたのか、出番があまりなかったのかわからないが、とてもきれいな外装。露出計含め、作動良好。唯一、ファインダー内の露出計の針の付近にゴミが入っており、覗くたびにちょっとだけ気になる(笑)ファインダーの付近にもモルトがあちこち使われているそうなので、多少のゴミやホコリやチリにはいちいち気にしないことにする。
レンズは35mm判換算55mmの標準レンズがついてきた。こちらは経年なりの塗装剥がれ等があるが、そのほかの状態は非常に良く、触り心地もいい。金属鏡筒でモノとしても魅力がある。このカメラと過ごす決意が強く固まり次第、さらに明るいレンズを入手したいと目論んでいる。
重量、レンズ込みの実測値(我が家の秤)で622g。
軽い、コンパクト、さらにフィルムカメラとしては無限と思えるほどの撮影可能枚数。いつ現像に出せるのだろう。
Mamiya-6 Automatと同じように、まだこの世に無い、実現不可能に思える理想を具現化する知恵と工夫、何より執念をこのカメラからはやっぱり感じてしまう。オリンパスの「妥協の無い性能をより小さく、軽く」というコンセプトは現代のマイクロフォーサーズ機を通じて脈々と受け継がれているように思う。
とは言えまずは気軽に、その名の通りペンのように、鞄に放り込んで出かけてみよう。